
「新しく運送会社を立ち上げたい」「別法人を作って緑ナンバーの事業をスタートしたい」とお考えの経営者様へ、一般貨物自動車運送事業の許可について分かりやすく解説します。
また、許可を取ってすぐに事業を開始できるわけではありません。許可後も数々の届出などの手続があります。許可取得から事業開始までの流れについても解説いたします。
一般貨物自動車運送事業とは、他人の需要に応じ、有償で自動車(トラック等)を使用して貨物を運送する事業をいいます。つまり、様々なお客様から依頼を受けて運賃をもらって自動車を使用して物を運ぶ仕事をするためには、許可が必要ということです。
一般的に「緑ナンバー」や「営業用トラック」と呼ばれるビジネスがこれに該当します。
ご遺体を搬送する霊柩事業も、ご遺体は法律上「物」として扱われるため、一般貨物自動車運送事業許可が必要となります。
無許可で一般貨物自動車運送事業を営むことはできず、貨物自動車運送事業法に基づく罰則の対象となります。
一方、運ぶものが「物」ではなく「人」である場合、「旅客自動車運送事業」となり、また旅客自動車運送事業については、別の法律により異なるルールが定められています。
一般貨物自動車運送事業許可の新規許可には、大きく「人」「物」「金」「その他」の4つの要件があります。全て要件を満たさなければ、許可を受けることはできません。
・許可を取得するためには、営業所ごとに原則として5両以上の車両が必要となります。
よって、最低でも5人の運転者が必要になります。
・運転者は、日雇いや2か月以内の短期雇用ではなく、常勤であることが求められます。
・許可申請時には運転者5人を確保できていなくても、許可後の「運輸開始前の確認届」までに5人以上確保できるのであれば、許可申請は可能です。
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・運行管理者は、点呼の実施、休憩・睡眠施設の保守管理、運転者の乗務割の作成、運転者の指導監督、安全運行の指示など、運行の安全を確保する業務を行う責任者です。
・事業者は台数に従った人数の運行管理者を選任しなければなりません。
| 1~29台 | 1人 |
| 30~59台 | 2人 |
| 60~89台 | 3人 |
以降、30台増えるごとに1人ずつ増えます。
・新規許可申請の場合は、通常1名の選任が必要となります。
・運行管理者となるための要件は以下のいずれかです。
①運行管理者試験に合格し、「運行管理者資格者証」を取得した者
②運行管理について5年以上の実務経験と5回以上の講習受講者
・なお、霊きゅう運送、一般廃棄物運送、島しょ部等での運送で車両が5両未満の場合は、運行管理者の選任の必要はありません。
・また、運行管理者は許可後の「運行管理者・整備管理者選任届」までに確保できればよく、許可申請時には「確保予定」として申請することができます。
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・営業所ごとに常勤の整備管理者1名を選任する必要があります。
車両の台数に関係なく、選任は1人で構いません。
・整備管理者の要件は以下のいずれかです。
①自動車整備士技能検定の合格者(級、種別は問いません。)
②2年以上の実務経験+整備管理者選任前研修を修了した者
※「実務経験」で整備管理者になるためには、整備工場、特定給油所、自動車運送事業者のもとで、点検・整備業務に関する業務を2年以上の実務経験を積んだ上で、整備管理者選任前研修を修了する必要があります。
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・営業所は、一般的には休憩・睡眠施設と併設される場合が多いですが、車庫に併設でも構いません。
・営業所の最低面積要件はありません。
・営業所と休憩・睡眠施設は別個である必要はありません。パーテーション等で明確に区切る必要もありません
・営業所と車庫の距離が離れすぎないことが必要です。これは地方運輸局により定めが異なります。
例えば、関東運輸局管内の場合、以下のとおりです。
・東京都(23区)、神奈川県(川崎市、横浜市)の場合・・・20㎞以内
・上記以外の場合・・10㎞以内
・地目が「農地」である場合、営業所の底地として使用できないため、農地転用の手続が必要になります。
・都市計画法上、市街化調整区域では、原則として営業所を設置することはできません。
・また、「事務所」として使用できる地域である必要があります。
よって、
• 第一種低層住居専用地域
• 第二種低層住居専用地域
• 第一種中高層住居専用地域
• 一定の条件を満たす第二種中高層住居専用地域
• 一定の条件を満たす第一種住居地域
には原則として営業所を設置することはできません
・建築基準法に違反している建物を営業所とすることもできません。
| 自己所有 | 建物の登記簿謄本 ※登記されていない建物の場合、売買契約書、建築確認書、課税証明書等で疎明することになります。 |
| 賃貸 | 2年以上賃貸できることを疎明します。 その上で「賃貸借契約書」を提出します。 |
・営業所若しくは車庫のいずれかに併設する必要があります。
・基本的に、運転者が宿泊を伴う運行を行う場合、睡眠施設を設置する必要があります。
・睡眠施設の場合、乗務員1人あたり2.5㎡以上の広さを確保する必要があります。
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・市街化調整区域であっても、地目や土地利用の状況等によっては車庫として使用できる場合があります。ただし、関係法令や自治体の規制等を確認する必要があります。
・また、農地法の田・畑を車庫として認められません。
・車庫の広さは、必要台数の車両を駐車できるだけの広さが必要です。
・さらに、車両と車両、車両と車庫の間にそれぞれ50㎝以上の隙間を確保しなければなりません。
・車庫の前面道路の幅が原則6.5m以上であること。
「幅員証明」を取得して証明します。
また、車両制限令に抵触していないか、道路管理者に確認する必要があります。
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・車両5両以上必要となります。車検証の用途欄が「貨物」となっている車両が対象となります。
・牽引車とトレーラーの場合、牽引車+トレーラーで1両として数えます。
・申請者が車両の所有権限を持つことが必要です。
よって、車検証の所有者または使用者の欄に申請者が記載されていることが必要です。
許可取得後、安定して事業を開始・継続できるだけの資金を確保していることが求められます。
・人件費、燃料費、家賃、車両費、保険料など、事業開始後に必要となる運転資金等を見込んだうえで、必要な自己資金を確保しておく必要があります。
・必要な自己資金は、車両・営業所・人員などの事業計画によって異なります。一般的なケースでは、1,500万円~2,000万円程度となることもあります。
・実際に必要となる金額は個別の事業計画に基づいて算定します。
・金融機関から「残高証明書」を取得して疎明資料として申請書類に添付します。
・複数の金融機関の残高証明書を合算して疎明することも可能ですが、証明基準日が異なる場合には認められないことがありますので、事前に運輸局へ確認する必要があります。
・必要額以上の預貯金が、申請時から許可が出るまでの間、「常に口座に残っていること」を疎明する必要があります。よって、残高証明書は申請時(1回目)と審査途中(2回目)の2回提出する必要があります。
自己資金について詳しくはこちら👉
車両について、以下の賠償額での任意保険に加入しなければなりません。
・常勤の役員(代表取締役、取締役など)のうち1名(個人事業主の場合は事業主本人)が、法令試験を受験し、合格する必要があります。
・試験は許可申請後の奇数月に実施され、不合格の場合は翌奇数月に再受験することができます。もし、再受験でも合格することができなかった場合、その申請は却下。取下げとなり、もう一度申請し直すことになります。
役員法令試験についてはこちら👉
申請者が以下の欠格事由のいずれにも該当しないことが必要です。
1.1年以上の拘禁刑以上の刑を受けてから5年経過していない
2.一般貨物自動車運送事業または特定貨物自動車運送事業の許可取消しから5年
経過していない
3.許可申請者の密接関係者(親会社・子会社・グループ会社等)が一般貨物自動車運送事業又は特定貨物自動車運送事業の許可取消しから5年経過していない
4.一般貨物自動車運送事業または特定貨物自動車運送事業の許可取消しの処分逃れのため自主廃業した場合、その届出の日から5年を経過していない
5.許可申請者が営業に関して成年者と同一の行為能力を有しない未成年者又は成年被後見人である場合、その法定代理人が上記3.を除く欠格事由に該当する場合
申請から許可取得までは、標準処理期間として3~5か月程度とされています。ただし、法令試験の再試験や補正等に要する期間は別途必要となる場合があります。
「許可が下りたらすぐにトラックを走らせられる」わけではありません。事業を開始するまでには、さらに多くの手続きが待っています。
「運行管理者」と「整備管理者」を正式に選任し、運輸支局に届けます。
事業開始に必要な準備が整っていることなどを運輸支局に報告するものです。
運輸開始前の確認を無事完了すると、運輸支局から車両を事業用(緑ナンバー)に登録するための「事業用自動車連絡票」が発行されます。
この連絡書を運輸支局の登録窓口に提出することで、事業用自動車として登録され、いわゆる「緑ナンバー」となります。
なお、連絡書の有効期限は発行から1か月です。
車両が緑ナンバーになり、任意保険の切り替えも完了したら、運送事業を開始することができます。
設定した運賃・料金について、運輸支局へ届け出ます。一般的には運輸開始届と同時に提出します。
運賃とは・・・運送の対価
料金とは・・・附帯サービス(荷物の積み下ろしなど)の対価
事業を開始したら、速やかに「運輸開始届」を提出します。
これで運送事業者として正式にスタートすることができます。
注)許可の取得から事業開始(運輸開始届の提出)までは1年以内に行わなければなりません。この期限を過ぎると、取得した許可そのものが失効してしまいます。
運輸開始届出の提出後、1か月以降3か月以内を目安に、適正化事業実施機関による新規巡回指導が実施されます。
巡回指導について詳しくはこちら👉
事業開始後、運輸支局への毎年の定期報告として「事業報告書」と「事業実績報告書」を提出しなければなりません。
| 事業報告書 | 事業実績報告書 | |
|---|---|---|
| 目 的 | 財務状況の報告 | 輸送実態の報告 |
| 報告期限 | 決算終了後100日以内 | 毎年7月10日 |
| 報告対象期間 | 各社の事業年度 | 毎年4月1日から翌3月31日 |
注:これらの報告書を未提出の場合、監査・行政処分の端緒となります。
「事業報告書」「事業実績報告書」について詳しくはこちら👉
事業用車両の増車・減車する場合、営業所を移転又は増設するなど、当初申請した際の事業計画を変更する場合、運輸局の許可又は届出は必要となります。
事業計画の変更について、詳しくはこちら👉
一般貨物自動車運送事業の許可申請では、営業所や車庫、車両、人員、資金など、さまざまな要件を確認する必要があります。
当事務所では、運送業専門の行政書士として、許可申請の準備から許可取得後の事業開始まで、一連の手続きをサポートいたします。
営業所・車庫・車両・人員・資金などについて、許可要件を満たしているか事前に確認します。
必要書類を収集・作成し、運輸支局への許可申請をサポートします。
役員法令試験に向けた学習方法や試験対策についてサポートします。
詳しくはこちら👉
申請後の運輸局による審査や補正等について、必要な対応を行います。
許可取得後の運行管理者・整備管理者の選任、運行開始前の確認、緑ナンバー登録、運賃料金設定届、運輸開始届など、事業開始までの手続きをサポートします。
「どのような物件なら営業所・車庫として使用できるのか」「自己資金は足りるのか」など、許可取得前のご相談にも対応しております。
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