
運送事業は、一般貨物自動車運送事業の許可を取得し、運輸開始の届出まで行い晴れて事業開始することができますが、事業開始後も様々な法令を継続的に守りながら事業を運営しなければなりません。運送事業者が各種法令を守って適正に事業を行っているのか、確認する制度が「巡回指導」なのです。
巡回指導は誰が実施するのでしょうか?
運輸局や運輸支局ではありません。
地方運輸支局長より地方実施機関として各都道府県のトラック協会が指定され、そのトラック協会の指定を受けて設置された「地方貨物自動車運送適正化事業実施機関」(以下「適正化事業実施機関」と言います。)が巡回指導を実施しています。
つまり、「巡回指導」は、適正化事業実施機関の指導員が営業所を訪問し、運営状況を確認し、必要な指導・助言を行う制度なのです。
よく巡回指導を「監査」と間違って認識される方もいらっしゃいますが、「巡回指導」と「監査」は全く異なる制度です。
| 実施する機関 | 実施の目的等 | |
|---|---|---|
| 巡回指導 | 適正化事業実施機関 |
・運送事業者が法令を守って適正に事業を行っているのか確認・指導するもの(予防的制度) |
| 監査 | 国(運輸支局) |
・重大事故や法令違反の疑い等を契機に実施されるもの(法令違反調査)。 |
巡回指導そのものは、行政処分を行うための監査とは異なり、事業者の法令遵守を促すための指導・助言を目的とするものです。ただし、重大な問題や改善されない違反等が確認された場合には、運輸支局等への報告を通じて監査につながる場合があります。
運輸開始の届出後、1か月以降3か月以内を目安として、初回の巡回指導が実施されます。
それ以降は定期的に(運輸支局の事情により実施の周期は異なりますが、概ね3年周期)実施しているようです。
実施前の1か月若しくは数週間くらい前に、運輸支局長から事業者あてに「適正化事業指導員の巡回指導の実施について」という通知文が送付されます。その通知文に記載されている「実施年月日」、「実施時間」、「巡回先」等に基づき実施されます。
また、併せて「適正化事業実施機関」からも「巡回時の資料提示のお願い」として、準備する書類等が記載された文書が送られてくるので、これに基づき事前準備を行うことになります。
事業者側の代表者(営業所の代表者)と運行管理者が対応することになります。
巡回指導では、全国共通の38項目を基本として確認が行荒れます。
その38項目とは以下の表のとおりです。
指導事項は大きく7つの区分に分かれています。
それぞれの区分ごとの確認内容は次のとおりです。
営業所や車庫、休憩施設が許可内容どおりになっているか、名義貸しや白トラ行為がないかなどが確認されます。
運転者台帳、車両台帳、事故記録簿、事業報告書などが整備されているかを確認します。
「運行管理」は、巡回指導において最も重要な確認事項の一つです。
運行管理者の選任、点呼の実施、点呼記録簿、運転日報、拘束時間管理、運転者教育、適性診断、安全教育など、多数の項目が確認されます。
整備管理者の選任、日常点検、定期点検、点検整備記録簿などが対象です。
就業規則、36 協定、健康診断、労働時間管理などが確認されます。
社会保険や労働保険への加入状況が確認されます。
安全方針、安全目標、安全計画、安全教育の実施状況などが確認されます。
38項目の中で重点項目とされているのが、主に次の項目です
上記の項目はいずれも事故防止に直結する重要な項目であるため、巡回指導では厳しく確認されます。
せっかく「点呼記録簿」を作成していても、アルコールチェックの結果や実施時刻が未記載であった場合、不適切と判断される可能性があります。
また、「運転者教育」も単に「実施した」というだけでは足りず、教育日時、教育内容、参加者等、実施したことを客観的に確認できる記録が必要です。
巡回指導で準備すべき帳票類は多種にわたりますが、特に重要な帳票類は以下のとおりです。巡回指導前には必ず記載内容等を確認する必要があります。
巡回指導の結果は、AからEまでの5段階で評価されます。
A評価:非常に良好
B評価:概ね良好
C評価:改善は必要な項目あり。
D及びE評価:改善指導対象(重点化対象)
D・E評価を受けた場合、改善結果報告書の提出が必要となり、その後も重点的に巡回指導が行われます。
3か月以内に改善結果報告を行わない場合や、3回連続してD・E評価となった場合などには、運輸支局への報告対象となり、監査の実施や行政処分につながる可能性があります。
特にE評価を受けたり、「行政処分」を受けた場合、今後の事業運営に大きな影響を及ぼす可能性があります。
巡回指導は、運送会社の法令遵守状況を確認し、安全な輸送体制を維持するための重要な制度です。
今後の許可更新制度の導入を見据え、日頃から適正な事業運営を行うことが重要です。
巡回指導の結果は、日頃の事業運営を見直す一つの目安になります。
当事務所は、「許可を取ること」ではなく、「持続可能な事業運営を支援する」ことをモットーに巡回指導への対応を支援しております。
当事務所での巡回指導サービスの内容は以下のとおりです。
巡回指導で確認される帳票類について、必要な資料・様式をご案内し、準備すべき帳票類を整理します。
また、帳票の記載方法や作成上の注意点についてもアドバイスいたします。
※日々の記録・帳票の作成、管理・保存は事業者様に行っていただきます。
巡回指導の実施日前に、帳票類が適正に準備されているか確認し、改善が必要な事項についてアドバイスいたします。
巡回指導当日に行政書士が立ち会い、必要に応じて事業者様の対応をサポートします。
指導員からの確認事項や指摘事項をその場で把握し、今後の改善につなげられるよう支援いたします。
巡回指導は、今後の事業運営を続ける上で重要な制度です。
当事務所は運送業専門の行政書士事務所としてサポートします。
巡回指導の通知が来てからでも間に合います。
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